黒竜人(こくりゅうじん)。そう呼んだのは、飲屋街に出入りしていた坊さんひとりだけだった。
入られた者は、痩せていく。体重は減るのに、体は重くなる。触れられた者にはすぐ効き、見られただけの者には、ずっとあとになって効く。
四作とも、語るのは当事者ではない。隣にいて、助けられなかった人である。
壱は、外から入り込まれる話。弐は、自分から引き受けて、抱えたまま歩く話。参は、道を教えない町の話。肆は、帰りを待ち続けた家の話。