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依
依代集
CHRONICLE

奇譚年表

すべての奇譚は、ひとつの世界で起きている。昭和から現代へ――この世界に刻まれた事件の記録。灯はまだ少ない。語られるたび、増えていく。

昭和
五十五年
創作 ・ 肆ノ型「気」

黒竜人 ―道に迷う姉―

盆地の町。方向音痴の姉が夏の夜に家を出て、母は玄関の灯りを消さなくなった。

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昭和
五十九年
創作 ・ 壱ノ型「憑」

黒竜人 ―命を吸う女と、消えた兄貴―

飲屋街の駐車場に、音もなく立っていた白いワンピースの女。道を訊かれた僕の前に、兄貴が横から腕を出した。その夏、僧はその女を「黒竜人」と呼んだ。

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昭和
六十三年
創作 ・ 壱ノ型「憑」

黒竜人 ―卵を三つ入れる坊さん―

飲屋街の外れの喫茶店。十六年、毎日ミルクセーキを飲みに来ていた坊さんが、六月の夕方、勘定をまとめて置いていった。

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昭和
六十三年
創作 ・ 弐ノ型「祟」

黒竜人 ―帰りの切符を売る店―

海に近い町の無人駅。駅前の店では、旧道への道を聞かれても、教えない。

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現代
依代師ユニバース ・ 肆ノ型「気」

冷えた穴 ―泉京介の憂鬱 第一話―

町の鍼灸師・泉京介のもとに、士郎の紹介でひとりの患者が訪れる。生きているのに、脈が何も語らない。金龍鍼が、冷えた。

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現代
三週後
依代師ユニバース ・ 参ノ型「人」

脈が一定すぎる男 ―泉京介の憂鬱 第二話―

士郎の店に毎日座っている常連が、京介のもとへ送られてくる。その人が連れてきたという男の脈を、京介は診た。速くも遅くもない。息を吸っても、止めても、変わらない。

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現代
一月半後
依代師ユニバース ・ 肆ノ型「気」

十三本目 ―泉京介の憂鬱 第三話―

十日、雀が鳴かない。空は膜を張ったように白く、院の予約表は三十人で埋まった。誰も「痛い」とは言わない。その夜、京介は院を出て、駅の裏の道に立つ。

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現代
依代師ユニバース ・ 肆ノ型「気」

繋ぎ手 ―泉京介の憂鬱 第四話―

師匠に呼ばれて、京介は山へ戻る。

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現代
依代師ユニバース ・ 肆ノ型「気」

眠る人 ―泉京介の憂鬱 第五話―

街でも、眠りすぎる人が出はじめる。

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令和
八年
創作 ・ 壱ノ型「憑」

黒竜人 ―二時の客―

関西ではない大きな街。毎晩二時に、同じ角で手を上げる老人がいた。

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――
未収録

次の記録を、待っている

泉京介の憂鬱は、一巻ここまで。次の記録は、まだ書かれていない。寄せられた奇譚のうち正史に昇格したものも、この年表に刻まれていく。

陽の型(憑・人)
陰の型(祟・気)