街の片隅に、小さな鍼灸院がある。腕はいいが、少し困った顔をした鍼灸師——泉京介。
その男には、もうひとつの顔があった。愛を失い、空っぽになってしまった者たちに、失われた愛を返し、あるべき場所へ「還す」依代師。
人をひとり救うたび、京介の体には、二度と温まらない「冷えた穴」がひとつ増えていく。与えれば減る愛のなかで、彼は今日も、暖簾を表に出す。
——行方知れずの兄が遺した、ひとつの謎を、その胸の奥に抱えたまま。
第一話と第二話は、一話ごとに閉じる。第三話から、閉じなくなる。
1巻 完